- 著者
- 中澤正彦・矢野誠
- シリーズ
- MQ Discussion Series
- DP番号
- 2015-005
- 公開年月
- March, 2016
- 言語
- 日本語
- URL
- ファイル
- 2015-005
- 備考
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- Summary
日本,米国,英国の中央銀行は,世界金融危機に際し,バランスシート拡大させる非伝統的な金融政策を採用したが,日本経済の金融危機からの回復経路は,アメリカやイギリスと比べても,遅々としたものである. これを受けて,各国が金融危機後に採用した非伝統的金融政策のデザインに着目し,公開市場操作で購入された国債の残存期間に関するデータ構築する.構築されたデータから金融危機後,アメリカやイギリスでは残存期間の長い債券が購入されたのに対し,日本では残存期間が極めて短く,貨幣と代替性の高い国債を購入されたことを示す. 欧米では公開市場操作で購入された債券の詳細残存期間が公開されているが,わが国では公開されず,量的緩和政策の実態が明らかになっていない.このため金融政策が市場に強いノイズをもたらし,金融市場の質を低下させ,市場の質の自然な回復経路が形成できず,危機脱却を遅らせてきたことが推察できる.