Market Quality Workshop が開催されました(2012/6/17)

特別推進研究「経済危機と社会インフラの複雑系分析」研究メンバーによるワークショップが開催されました.(こちらでは一部抜粋によりお伝えいたします.詳細なレポートは特別推進のサイトに後日掲載されると思います)

◇ 矢野誠 「市場の質と経済危機について」


矢野 (2005)『「質の時代」のシステム改革―良い市場とは何か? 』では,市場の質が低下するたびに,新しい世界の中で市場の使い方を見出す法整備が行われてきており,市場の質が知的財産権,労働法,独占禁止法,証券法,M&A法などのきっかけになっているという考えが示された.このアイデアに基づき,当研究プロジェクトでは法学と経済学の連携が重要と考えています.

このワークショップでは,矢野 (2005)による分析をベースに市場の質についての基礎的な内容から,リーマン・ショックにおける金融危機,近年の日本の経済状態についての分析までを含めた概説的な内容をお話いただきました.

理論的な成果としては,Yano-Furukawa (2012, unpublished) において,知的財産権の保護が産業革命サイクルを引き起こし,技術革新や市場の低下が必然的に起こるメカニズムが発見されました.

Yano's Talk

◇ 小松原崇史 「証券市場の質に関するJHPSデータ」


JHPSデータ=KIERと慶応大学と共同で行なっている家計調査.慶応義塾大学が21世紀COEプログラムの資金によって2004年から開始,その後,京大・慶応連携グローバルCOEプログラムに引き継がれました.この調査結果は「日本の家計行動のダイナミズム」という書名で,慶応義塾大学出版会から出版され,2011年度時点で第7巻まで刊行されています

2011年度より特別推進研究「経済危機と社会インフラの複雑系分析」もパネル調査に参加しています.証券市場に需要者として参加する家計が証券市場についてどのようなイメージをもっているかを知る必要があるという問題意識ので,今年度より証券市場に対する意識調査が新たに追加され,この部分について小松原先生に解説していただきました.合わせて今後の実証研究の基礎となる理論的な方法論についても解説をいただきました

研究は進行中ですので,実証結果は書籍・論文の刊行をお待ち下さい

Komatsubara's Talk

◇ 太田勝造 「Law and Disaster: Information Handling and Information Dissemination in Crisis」


震災発生時,海外メディアで報道される事実であっても,日本のメディアでは報道されなかった多くの事実があったと伝えられています.これは,日本のエリートは震災後の危機管理ついて愚民感があるのではないかと考えられています.つまり,事実をそのまま流すとパニックになると考え,歪んだ情報公開を行なっていた可能性があります.しかしこれまでの歴史上,報道によって引き起こされた大きなパニックは観測されていません.

太田先生の研究では「受信した情報に基づく行動」および「受信した情報の確認作業」についての広範な社会調査(インターネット調査)を行なっています.たとえば,人々は「災害時に他人はパニック行動を取ると思う」傾向がある一方で,「自分はパニック行動を取らないと思う」傾向が見られるようです.また,「平時は情報の規制を支持し,災害時は情報の規制に反対する」傾向にあるという興味深い結果が得られています.

Ota's talk

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